Ardeche “Les Marecos” Rouge / Michel Savel & Herve Souhaut (赤) 750ml
2009年植樹。70%シラー、30%メルロー。全房、野生酵母のみで発酵。メルローはセミ・マセラシオン・カルボニックで発酵させるがシラーは通常のアルコール発酵。発酵後は古いバリックやトノーで9ヶ月程度熟成。翌年の収穫後にボトリングします。
ローヌに自然なワイン造りを広めた立役者「ティエリ ー・アルマン」で自然栽培、そして、亜硫酸に頼らない自然な醸造を学んだ「エルヴェ・スオー」。その後、1991 年には「フィリップ・パカレ」の薦めでもう少し過激なナチュラリスト「ダール・エ・リボ」で働き始めます。 『ローヌの自然なワイン造りの 2 人の巨匠と共に働き、学んだことは教科書にはない、経験でしか得ら れない法則だった』 その後、1993年には奥様であるベアトリスの実家で 北部アルディッシュに位置する「ロマノー・デストゥゼ」を引き継ぎます。 『フィロキセラ前からワイン造りを行ってきた歴史が あるだけに地質的にも天候的にもフランスで最高 の条件を持っている』 ティエリー・アルマンとダール・エ・リボは全く違います。 エルヴェ・スオーのスタイルも違います。彼は両者の 仕事を経験して自分なりのバランスを作り出している のです。 『最も影響を受けたのはフィリップ・パカレ。経験を基に理論的に醸造を進化させているフィリップから学び、今のスタイルがある』 ローヌのナチュラルさというよりブルゴーニュのような 上品さ、質感を感じるのは彼が目指している方向なのかもしれません。 『アルディッシュ北部のアルルボスク村は南部ローヌとは全く異なるテロワール。それに合わせたワイン造りがパカレのアドバイスだった』 16 世紀に建てられたセラーは電気を使用しないで も適度な冷気を保つよう設計され、今も当時と同じように扉の開け閉めで温度管理が十分に可能。 いつも明るく、人懐っこい彼等の隣人「ミッシェル・サ ヴェル」は彼等のワインのファンで、ドメーヌでワインを量り売りで購入していた。 『石職人のミッシェルは採掘し終わった土地で葡萄 を育て栽培・醸造を僕等に任せるという提案をくれた。勿論、快諾した』 こうして「ミッシェル・サヴェル」は誕生します。植樹は 2009 年。ワイン醸造は 2015 年から開始。畑の所有者はミッシェルなので登記上はドメーヌで はなくなるが、栽培・醸造共に彼等が担当。 『栽培も醸造もエルヴェ・スオーと同じカーヴで同じ哲学で行うが樹が若いので今の段階ではフレッシュで気軽に飲めるスタイルに仕上げる』 畑はエルヴェ・スオーの周辺で真南を向く、急勾配 斜面。ここに石職人ミッシェルが石壁を作り、段々畑に仕上げている。 石壁は砂質を含む花崗岩の流出を防ぎ、段差が出来る事で、より風通しと効率的な日照量を手に入れている。 『北部アルディッシュは雨量が少なく、1年を通して 乾燥しており、カビ、病気がほぼ無いのでボルドー液がほとんど必要ない』 2つの分かれた畑は共に標高 400m 程度。北風が吹きぬける丘陵部なのでウイルスやカビを風が吹き 飛ばしてくれる。 病気に弱い若い樹も灌漑せえずに生きられる位に葡萄にとって理想的な環境になっている。 『フィロキセラ前は葡萄栽培家が沢山いたが、今は 僕達 1軒。北アルディッシュは土地が安いのでリーズナブルなワインでも高品質を実現できる』 畑ではビオディナミが実践され、除草剤、防虫剤は 一切使用されない。畑の周辺は 500 年以上そのままの森林なので生物多様性が確保されている。 『ビオディナミがワインを美味しくする訳ではない。美味しさは葡萄の高い品質を活かす正しい醸造でしか得られない』 近年の彼等のワインはより綺麗さが増し、重さはない。 還元や熟成前酸化もない。エルヴェの言うフレッシ ュさと美しい果実のバランスが強調されている。
醸造はパカレの影響を強く受けている。全房、野生酵母のみで発酵。発酵槽は開放型。足で踏んで発 酵を促すだけで何も添加しない。 『メルローのみセミ・マセラシオン・カルボニックを採用することでシラー本来のフェミニンさやフレッシュな香を残している』 収穫、醸造中は一切、亜硫酸は使用しない。勿論、 補糖、補酸もしない。ノン・フィルター、ノン・コラージュ。移し変えは重力を利用し、ポンプは最終のアッサンブラージュ時のみ。 『ミッシェル・サヴェルでは抽出をできる限り抑えてい る。ピシャージュもエルヴェ・スオーの半分程度で優しく行う』 あくまでも若樹だからこその「楽さ」を楽しむ為のキュ ヴェなので開けてすぐの香、素直な果実とフレッシュ な美味しさを目指している。 品種は 70%シラー、20%メルロー。メルローはこの 地域では伝統的な品種でシラー、そしてセミ・マセラ シオン・カルボニックと相性が良い。 『発酵後、古いバリック及びトノーに入れて熟成。翌 年の発酵が始まったらボトリング。瓶詰め前に極少量の酸化防止剤を添加』