Toscana Rosso Sangiovese / Fattoria Ambra (赤) 750ml
菫の香りが甘やかでやさしい。出汁の様な旨味がある赤ワイン。日本向けに造られるサンジョヴェーゼを純粋に表現したキュヴェ。スミレの香りが印象的。酒質は柔らかく上質な酸が全体を整える。柔らかな余韻が口中に残ります。カルミニャーノは名乗れないが、最も的確にカルミニャーノという土地を表現したワイン。
サンタ・クリスティーナ・イン・ピッリのアッサンブラージュ前のサンジョヴェーゼのみを使用。粘土石灰土壌。 12ヶ月以上、半分スロヴァニア大樽(25hl)、半分トノー(5hl)で熟成。炭酸カルシウム本体で粘土なので水分を保持し、夜間に葡萄樹を冷やします。
アンブラは1870年、ロメイ・リーゴリ家によって設立されます。オンブローネ川の近く、ポッジオ・ア・カイアーノに位置します。今では24haの葡萄畑を所有。アンブラは地元密着型の農園で、長くワインを造ってきました。当主はリーゴリ家の娘スーザン。夫のジュゼッペ(ベッペ)がアグロノミストであり醸造責任者です。ソムリエで栽培責任者のファビオとベッペの甥っ子グイドで運営されている。1955年からワイン造りを本格的に始めました。
ベッペはサンジョヴェーゼの専門家として他のトスカーナの造り手の醸造コンサルタントも務めます。トスカーナにしかない昔ながらのワインを理想としているのです。全ての畑は自然農法で管理され、硫黄と極少量の銅以外には除草剤も一切使いません。ブドウの樹を支える支柱も近くの森の木を使用することで土壌を守ります。「支柱を打つ時も腐食防止用の薬は使わない。自然界にないものは必要がないはず。土壌の活性化は最重要」と彼は話します。2018年からは有機認証も取得しています。
カルミニャーノは1975年にキャンティ・モンタルバーノから切り離された最小のDOCG地区です。比較的新しいDOCGですが、実はその歴史は古くから続いています。17世紀にはメディチ家によってトスカーナ最高のワイン産地として評価されていました。しかし、それ以降、現在までカルミニャーノはその生産量の少なさと周辺産地の派手さにおされ衰退の一途を辿ってきました。キャンティやブルネロのように名声が海外まで届くこともなく、現在でも手つかずの自然が多く残っているトスカーナの田舎がカルミニャーノなのです。
キャンティともブルネロとも違う"カルミニャーノらしさ"というものがあります。ブルネロのように頑なでがっちりとした骨格を持つ訳でもなく、キャンティのように厚い果実味と弾ける様な酸、タンニンを持ち主張する訳でもない。どこかおしとやかでしみじみとした旨味を残ります。色調は他のサンジョヴェーゼよりもおとなしく、タンニンや酸も控えめ。ナチュラルなしなやかさを持ったエキスで突出したところがなく、口中でひっかかることない。出し汁のように旨味を残すアフター。全てが控えめながら、均整が取れていて、最終的な満足感は高い。このカルミニャーノらしさを大事に守り続けているのが、このファットリア アンブラです。