Barolo "Albe" / G.D.Vajra (赤) 750ml
バローロ村の優良畑、ラ・ヴォルタ、フォッサーティ、コステ・ディ・ヴェルニュの3つの畑のアッサンブラージュ。ステンレスタンクで発酵(葡萄の状態によってだが例年25日程度のマセラシオン)。熟成は大樽で34ヶ月程度。アルベは朝日の意味で3つの畑のアッサンブラージュなので、時間差で3回朝日を浴びるのでアルベと名前を付けました。すみれやバラの様な華やかな香りが第一印象。プラム、アメリカンチェリーのコンポートのニュアンス。柔らかで甘やかなタンニンとここちのよい酸の余韻が続きます。
当主「アルド・ヴァイラ」は穏やかでピエモンテは勿論、他の産地の造り手からも慕われる人格者です。ピエモンテを代表する醸造家としても常に高い評価を受けています。
現在は息子の「ジュゼッペ」が経営を担当。「イシドロ」がアルドの下で栽培・醸造担当としてカンティーナに参加し、家族経営を続けています。
『(アルドの)父はワイン造りをせず、アルバで働いた。私は醸造学校を卒業後、お爺さんが所有していた僅か0.3haの畑と樽の鉄枠だけを相続してワイン造りを開始した』
転機は大不況下の 1986 年でした。雹害でランゲ全域の畑が壊滅的な被害を受けたのです。多くのランゲの造り手達が、代々続けてきた農業を諦め、廃業を選択していきます。
『私はワイン造りを諦める事ができず、この不幸をチャンスと捉え、借金をして売りに出された畑を購入。重要な畑ブリッコ・デレ・ヴィオーレ、フォッサーティ、レ・コステを手に入れた』
こうして、バローロ村の優良畑を手に入れ、偉大な造り手へ成長していきます。偉大なワインは醸造技術だけでは成し得ません。偉大な畑があってこそですから、幸運だったのです。
『醸造家は良い素材を活かし、良いワインを造る事はできるが、悪い素材から良いワインを造り出す事はできない。偉大な畑を持つ事ができたのは幸運だった』
リンゴジュースはリンゴの味がするべき。他の味は必要ない。バローロを飲めばネッビオーロの味がするべき。樽由来の甘味、タンニン、余計な香は必要ないのです。
『健全な葡萄を収穫し、タンク内で全ての葡萄が順次、発酵を始めることが重要。遅過ぎるとジュースの部分は酸化とバクテリアに侵され、葡萄以外の香が出てしまう』
彼等のバローロは均整の取れた酒質で素直にフルーツを感じさせます。熟成と共に妖艶さを増していきますが、ネッビオーロらしさは、決して薄れません。
『私達は伝統派だが、革新的でありたい。だから毎年100 種以上の醸造を試し、その年の葡萄に合った醸造を模索している。伝統は毎年同じ事をする事を意味しない』
ネッビオーロはカベルネやメルローと違い、果汁自体にアントシアニンを含みません。果皮に多くの要素を持っています。だからこそ、果皮の扱いが重要なのです。
『香味成分は果皮に多く存在する。だからフォラトゥーラ(櫂入れ)が大切。櫂入れで果皮にアルコールが染み込み、香味成分を抽出する。質の高い香味成分だけを抽出する』
高樹齢の葡萄は小粒なので果皮比率が高い。高樹齢の場合、強い刺激は粗さを出してしまう。櫂入れも半分程度に抑え、果帽を濡らす程度にして長いマセラシオンを行う事が大切。