Viaria / IL Mortellito (白) 750ML
標高40m、黒色粘土質、砂質土壌と白石灰岩が層になって重なっている特殊な土壌。収穫は通常一番早く、8月中旬。Viariaは、Moscato di Notoの生産エリア名。
シトラスの爽やかな柑橘やマスカットの香り、すっきりとした味わいの中にミネラル感が冴える。華やかな香りと塩味のアフターが心地よく、加えてハーブなどのグリーンな香りとスパイシーなニュアンス。味わいはフレッシュでドライ。ブッラータチーズにオリーブオイルと海塩だけでシンプルに合わせたり、芳ばしく調理した魚介に塩とレモンを振って味わったり、生牡蠣にも合います。
品種:モスカートビアンコディノート
↑ワイン会でペアリングしたブッラータチーズと苺のサラダです。これは一例ですが、ミネラル豊かな味わいなので、野菜でも魚介でも料理を大変引き立ててくれます♪
シチリア、ノートのナチュラリスト「イル・モルテッリート」!このワインは必ず経験して下さい。これこそが暑いシチリアで飲まれていたワイン。その意味を、その心地良さを感じてもらえるはずです。
以前の「フランク・コーネリッセン」のススカールにはイル・モルテッリートのモスカートが使われていました。当時、イル・モルテッリート当主ダリオはワインを造らず、フランクやラモレスカに葡萄を供給していました。
2014年、
遂にボトリングをする事を決意。
海から3kmの位置にある廃れたカンティーナを買取り、ステンレスタンクを3台購入してワイン造りが始まります。暑いノート。土壌は乾燥し、ひび割れ、サボテンとアーモンドの樹、そして近くのパッキーノ同様にトマト畑が見渡せます。極度の乾燥でも生き抜ける植物しか残れないのです。
葡萄畑は海から2kmの位置にあります。黒色粘土と砂質、そして石灰岩盤が交互に層になっている土壌はノートならでは。そして、海が近いだけに5m下には水脈が通っていてその水脈は海水も混じり合っています。ですから、極度の乾燥でも葡萄樹は生き抜くことができ、海のミネラルを十分に吸い上げるのです。
イル・モルテッリートのワインは重くありません。輸出がされる以前からノートではワインが造られていて、勿論、地元で飲まれていた訳です。暑いノートで飲まれていたワインはミネラル感に富み、フレッシュで軽く、体を癒してくれるようなワインだったはずなんです。
今のシチリアワインの流行とは全く違う軽やかで、ひっかかりのない綺麗なワイン。それがダリオが目指すワイン。湿気の多い日本の夏にも最高なんです!さて、ダリオ。ワイン造りもしますが、スキューバダイビングのインストラクターでもあります。大好きな海と農業をしながら毎日、自由に生きているダリオ…。ちょっと憧れちゃいます。いやー、旨い!
カターニアから車で2時間。パッキーノに近いシチリア南東部のノートはアーモンドやドライトマトが主産業で、手つかずの自然が残る過疎地帯です。
『イル・モルテッリートという名前は祖父が2haの畑を所有していたヴぁる・ディ・ノートにある地域名。僕等のルーツと言える地名に由来しています』
周辺はアーモンドの樹とトマト畑ばかり。海までは3kmで潮風にも乾燥にも強い植物しか適応できない厳しい自然環境。葡萄畑はほとんど残っていません
『マグロ漁港として有名だったマルツァメーミ。大型のマグロ加工工場がいまだに残っている。港は70年代までバルクワインをフランスや北イタリアに出荷する為の港としても使われた』
30年前まではエトナより葡萄畑が多かったノート。昔の人は葡萄にとって良い土壌と気候があったから、ここに葡萄を植えたのは明らかなのです。
畑は海から2kmという位置にあり、標高は100m以下。黒色粘土質、砂質土壌と白石灰岩が層になって重なっている特殊な土壌。他にはない独特な土壌。
『5m掘ると地下には白亜石灰岩層があり、その層の下は海水が通っている。葡萄根は地中の海のミネラルと山のミネラル、どちらも吸い上げるのです』
黒色粘土質は果実感を葡萄に与え、砂質は香を与えます。白亜石灰岩は塩味と植物的なタンニン、骨格を与えてくれる。土壌ごとの個性をアッサンブラージュしてバランスさせる。
『単一の土壌でワインを造る伝統はない。色々な土壌で育った葡萄の個性をアッサンブラージュする事で、ワインは複雑味や深みが出てくる。これがこの地域の伝統』
シチリア南部のノートは1年中暑い地域。地産地消の時代は、勿論、伝統的に軽く、クリスピーで爽やかな赤ワインが好まれてきました。重く甘いワインなんて誰も飲みません。
『2019年は暑く、雨もなかった。普通ならアルコールが上がり、甘くなるが、暑過ぎるノートではタンニンは増えるが、アルコールは上がらないし甘くならない』
当主は海と農業を愛するダリオ・サレンティーノ。スキューバダイビングのインストラクターとワイン造りを両立。ワインも含めて、人生を楽しんでいるのでワイン造りには専念したくないのだそう。
『元々、フランク・コーネリッセンやラモレスカに葡萄を売って生計を立てていたが、2014年から葡萄での販売を、ほぼ止めて自分のワイン造りを開始した』
フランク・コーネリッセンのススカールには、いまだにイル・モルテッリートのモスカートが使われています。また、ラモレスカが所有していたノートの畑はダリオが購入し、引き継いでいます。
❖希少種モスカート・ディ・ノート❖
代々、農家だったダリオは親戚を説得し、皆の畑をダリオが借りる形で23haまで増やします。その内12haが葡萄畑で残りはアーモンドとオリーヴ畑。
『量を得る為の古い仕立から樹勢を抑えられるアルベレッロ仕立に変更。アルベレッロは収穫まで全てが手作業になる。6000本程度の密植に畑を変更していった』
元々は黒葡萄が栽培されてきた地域ですが、ダリオはカタラットとグリッロを植樹(一部混植)。更に、この地の伝統品酢で希少なモスカート・ディ・ノートも接木で残しています。
『モスカート・ディ・ノートはジビッボとは違う品種で果皮が厚く、粒が小さい。甘さよりも爽やかな香とミネラル感が強いので、甘くてもべたつかず、飲み心地が良い』
ジビッボはモスカート・ディ・アレッサンドリアと同種ですが、モスカート・ディ・ノートは全く違う遺伝子。この品種を栽培しているのは、現在僅か3軒しか残っていません。黒葡萄はネロ・ターヴォラとフラッパート。完熟している事が重要ですが、ノートの乾燥の中では少しの過熟も許されません。最適なタイミングで収穫する為に区画毎に手作業で収穫。
『酷暑でも地下水脈があるので葡萄は灌漑しなくても生きられる。しかし、収穫時期を逃すとアルコリックで重たく単純で平坦な味わいのワインになってしまう』
暑いノートでは完熟状態から3日収穫が遅れるだけでアルコールは15%を超えてしまいます。高いアルコールはワインの繊細さを覆い隠してしまうのです。
『重く甘いワインはノートの伝統にはない。地元で好まれる、冷やし目でも美味しい軽くクリスピーで酸のあるワイン。でも、しっかり葡萄、テロワールの情報が感じられるのが理想』
赤ワインのマセラシオンは僅かに24時間。完熟したネロ・ダーヴォラは果皮が柔らかいので、細胞が壊れやすく、長くマセラシオンすると雑味が出てしまうのです。
『ネロ・ダーヴォラは酸化に弱い非常にデリケートな品種。長いマセラシオンや酸化的醸造は土地の個性や繊細な味わいを覆い隠してしまうので向いていない』
今の流行とは少し違うワインかもしれませんが、土地の味をしっかり感じさせるダリオのワイン。本来、暑いシチリアで日常的に飲まれていたのはこんなワインのはず。