Sagona / Agienda Agricola Sagona (赤)750ml
パテルナ協同組合の元醸造責任者が独立。キャンティ地区の外れプラトマーニョ山の標高550m の捨てられた畑を譲り受けて昔ながらの農民のワインを再現しています。
南西向き斜面で最も標高が高く冷涼なサゴナ畑。生育スピードが遅く、一番遅い収穫。平均樹齢は40年。サンジョヴェーゼを中心にマルヴァジア・ネラ、カナイオーロ、チリエジョーロ、コロリーノが混植されている。セメントタンクで発酵。21日間マセラシオン。18か月間古いバリックで熟成後、6か月瓶熟成。年間生産量は2,000本。
ローロ・チュフェンナにある品質至上主義の協同組合「パテルナ」で長く醸造責任者を務めていた「ダニエレ・コロッティ」が 2012 年独立。ローロ・チュフェンナの町から山を登った標高 550m の地の 荒廃した葡萄畑と 1, 8 00 本のオリーブの樹を購入し、オステリアとカンティーナを設立した。『借りている畑も含めて 4ha 。生産本数は僅か15,000 本。 1 人 だけで 自然農法で畑を管理するにはこの規模が限界』パテルナ協同組合で 10 年以上働いたのでこの地域の気候、土壌特性を理解している。慣れ親しんだこの土地で独立したかった。『場所が変われば気候も土壌も変わる。その土地に合った栽培や醸造が必要。この土地の葡萄樹が何を欲しているのか僕には解る 』この地域はトスカーナでも無名の地域 で高齢の栽培家達は樹齢の高い葡萄畑を放棄していて、多くの畑は森に戻ろうとしていた。『温暖化が問題になっているが、この地域はプラトマーニョ山の冷気が下りてくるので非常に冷涼。ゆっくり葡萄が熟すので収穫は 10 月中旬』温暖化の影響はほとんど受けず、文明の影響も受けていない。 1960 年代から農薬が使われておらず健全な状態。トスカーナでは非常に珍しい。『土壌は ローム土壌。 砂質が多く含まれているので収量は多くなりがち。昔の人は収量制限 を しなかったので高い品質のワインは得られなかった』自然農法で葡萄樹にストレスをかけて収量を落とし、ストレスから身を守る為に葡萄が蓄積する要素がワインに厳しさを与える。これが重要。 全ての畑はビオディナミをベースとした自然農法で管理され、プレパラシオン、銅と硫黄(天然)、海藻粉末のみが必要に応じて使われる。『土壌は塩分、マグネシウム量が多く、痩せている。 窒素も少ないので雑草を残して時々刈り込むことで窒素量を増やしている』窒素が少ないと発酵が止まってしまうが、人工的に窒素を補給すると全体のバランスが壊れてしまう。下草が自然とバランスを とるのを待つ。『窒素や有機物が表土に少ないから根は下方向に伸びるのでサブソイルである海の堆積物の層まで根が伸びている』放棄されるローロ・チュフェンナの畑はテロワールが劣るのではなく、サブソイルまで根を伸ばしていない若い樹がテロワールを表現できないだけ。『放棄された畑から枝を取り、古代クローンを接木し、この地域独自のクローンを復活させている。突然変異クローンもテロワールだと思う』現在、トレッビアーノ 5 種。サンジョヴェーゼ 5 種のクローンを所有し、カナイオーロ、チリエジョーロ、マルヴァジア・ネロ、コロリ ーノ・デル・ヴァルダーノも所有。 醸造は全て自己流。栽培も醸造もその地域に伝わる風習には意味があると思っている。例えば、この地域の醸造所には北側に窓がある。『発酵温度が上がり過ぎたら北側の窓を開ける。山から吹き下ろす冷たい風が発酵温度を下げてフレッシュさを失わずに済むから』収穫は遅く、 10 月中旬。砂質土壌は空気を含むので根を温めるが、標高が高いので夜間葡萄樹は極度に冷やされストレスを受ける。 『人間と同じ 。厳しい環境を耐え抜くことで しか 葡萄は強くな れない 。エネルギーのない葡萄は間の抜けたワインになってしまう』葡萄樹はストレスを受けるとグルタチオンやシステインといった組織を作り出すことが知られており、この質はワインに厳しさを与えると言われる。収穫は朝 5時から行われる。果実が最大限糖度を蓄えている状態であり、温度が低いので発酵温度を低い状態から始められる。『 15 度程度で収穫し、徐々に温度が上がり 21 度から発酵開始。温度帯によって働く酵母が異なるので、できるだけ多くの種類の酵母を働かせたい』50 種類以上存在する酵母がそれぞれ香や味わいを生成するので、 できる限り多くの酵母が働くことで色々な要素がワインに与えられる。『収穫時期の朝の温度は 5 度。昼間は 30 度まで上がる。昼夜の寒暖差はクラシコの 2 倍にもなる。この寒暖差こそが山のワインを造る』赤ワインは伝統的なセメントタンクでの発酵後、大樽 での熟成。白ワインはダイレクトプレスのノン・マセラシオンと 10 日間のマセラシオンの 2 種。 『同じ場所で毎日の気候を感じ、畑と葡萄樹の変化を感じ、必要最低限のサポートを することがワイン造り。技術では本当のワインは造れない 』伝統的でシンプルなワイン造りながら職人的な完成 度の 高さを感じさせる「サゴナ」。各工程で完璧さを追求しているダニエレだからこその味わい。 『山に住む農民が飲んでいた昔ながらの素朴だが、質の高いワインを造りたい。プラトマーニョ山だからこそのワインを目指す』